お知らせ & 法律相談コラム

デジタル遺産を相続人は開示してもらえるか?

今は、老若男女がWeb上のサービスを利用している時代です。大切な情報であればある程、自身しか分からないようにWeb上で管理することもあるでしょう。 Web上にアップロードされた情報は、ほぼ半永久的に保存され続けることになります。では、故人のデジタルデータについては、どの様になって行くのでしょうか。規約のある場合と無い場合があります。少し分けて検討をしてみましょう。

 

<規約が無い場合>

基本的には、民法の規定に従います。故人との契約の種類や無いようにもよりますが、基本的には死亡時点で契約が終了することが多いものと思います。そうすると、故人のデジタルデータを利用処分する権利ないしはウェブ上のサービスを利用する権利というものは、相続人に承継されることになります。そのため、相続人の方は、相続人という立場で各サービス提供者に対して、故人のデジタルデータの扱いについて開示や保存、削除などを求めて行く事になります。もっとも、日本国内の電気通信事業者は通信の秘密を侵してはならないと法律上決められているため(電気通信事業法4条1項)、通信の秘密とのバランスを考えて電気通信事業者は、故人のデジタルデータの開示をするか否か等を検討することになるでしょう。

 

<規約がある場合>

基本的には規約に従います。規約があるということは、故人となることを想定しており、故人となったことをもって契約が終了になることはありません。規約に従って、相続人は、デジタルデータの開示や削除等を事業者へ求めていくことになります。故人のデジタルデータは、相続人であっても渡さないとする場合、それを維持できるかが問題となります。こればかりはケースバイケースとなるかと思います。例えば、故人のデジタルデータが無ければ相続財産の処分等が進まないという状況にある場合に、頑なに規約を盾に頑なに事業者が故人に対してデジタルデータを渡さないとすることが、果たして必要かつ合理的なのかといわれれば甚だ疑問で有り、これによって損害を相続人が被ったという場合には事業者も責任を追求されるのではないかと思います。そのため、事業者としては、相続人に開示することと故人のデジタルデータを秘密にし続けることとの間の利益考量をすることになるでしょう。

 

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