プログラム等の開発委託契約では,事業者とユーザーがお互いに秘密を知る機会がとても多くなります。そのため,お互いに守秘義務を負う条項,秘密保持条項を入れておくことがよいでしょう。
秘密とは,他人に知られていない情報であり,本来秘密に値する内容のものです(実質秘⇔これに対して,形式的に秘密としたものが秘密であるという考え方もあります(形式秘))。ここには,既に公知となっている事項,独自に知り得た事項,合法的手段により第三者より知り得た事項などは,外されます。
秘密が漏洩し,これによって損害が生じた時は,契約に損害賠償の規定がなくとも,相手方はそれぞれ守秘義務違反,又は不法行為を理由に損害賠償請求を行うことが考えられます。ただし,損害をいくらと考えるのかについては,難しい問題があります。そこで,違約金として予め金額を設定しておくこともあり得ます。
秘密保持条項は,あくまで秘密を漏らさないようにさせましょうという取り決めですので,それを守らせることに主眼がなければなりません。そのために,どのような条項がもっとも望ましいものかを考えてみましょう。
なお,従業員に対する秘密保持義務を定める場合とは,異なりますので,ご注意下さい。