<オンラインゲーム大会・eスポーツにおける賞金に対する法規制はあるか?>
大会等に参加してもらった参加者のうち、成績上位者に対して賞金を渡そうと思うのですが、検討しておかなければならないことはありますか?ちなみに、ゲームの状況は、随時、配信する予定で、参加者にはその許可を取り付ける予定です。
<オンラインゲーム大会・eスポーツにおける賞金の取り扱い>
オンラインゲーム大会やeスポーツは、そのゲームのメーカ等が主催することがありますが、大会への出場や成績上位者となるためにはそのゲームの技術が高いことが必要となるため、実質的にはそのゲームの購入や課金ユーザーであることが参加の前提となります。そうすると、ゲーム購入や課金ユーザーになることが、参加条件と考えることもできるため、大会における成績上位者に賞金が与えられる場合には、この賞金が景品表示法にいう「景品類」に該当すると判断されれば、景品表示法の規制が及ぶ可能性があります。
<景品表示法の規制>
景品表示法は、景品類の最高額、総額等を規制することにより、一般消費者の利益を保護するとともに、過大景品による不健全な競争を防止することを目的しています。
「景品類」とは、顧客を誘引するための手段として、その方法が直接的であるか間接的であるかを問わず、くじの方法によるかどうかを問わず、事業者が事故の供給する商品又は役務の取引に付随して相手方に提供する物品、金銭その他の経済上の利益であって、内閣総理大臣が指定するものとされています。
これを受けて公正取引員会の告示では、顧客を誘引するための手段として、方法の如何を問わず、事業者が事故の供給する商品又は役務の取引に付随して相手方に提供数r物品、金銭その他の経済上の利益(金銭、金券、預金証券、当せん金附証票、公社債、株券、商品券等)とされています。
<消費者庁の見解>
消費者庁は、賞金の提供先をプロライセンス選手に限定する大会や限定しない大会であっても、大会等において高い技術を用いたゲームプレイの実技又は実演により多数の観客や視聴者に対してそれを見せ、観客や視聴者を魅了し、大会等の競技性及び興行性の向上に資する者であることが類型的に保証されているという特徴があることを指摘しました。その上で、大会等における参加者への賞金の提供は、景品表示法における景品類の制限の趣旨の潜脱と認められるような事実関係が別途存在しない限りにおいては、仕事の報酬等を認められる金品の提供に該当し、景品類の提供に当たらないものと考えられるため、景品表示法の適用対象とはならないとしています。
<検討のポイント>
ポイントは、①賞金について誰が提供を行うか、②競技性及び興行性を高めることができる実力のある参加者に限定するか否か、③観客の動員や配信等を行うか否かという点です。これらを総合的に考慮して、賞金が仕事の報酬等と認められrう金品の提供に該当するといえるか否かについて判断をすることになります。