ネットオークションにおいては度々「ノークレーム・ノーリターン」という言葉が出てきます。これは,出店者が出店物について商品に関して,「一切のクレームを受け付けませんよ,返品も受け付けませんよ」という意思を表示するものですが,要するに出店物に何らかの問題があっても法的責任を負わない趣旨の意思を表示するものです。
ネットオークションの場合,ネットオークションを主宰する事業者は単にその場を主宰しているにすぎず,出店者と落札者との間で売買契約が成立するに過ぎません。そのため,「ノークレーム・ノーリターン」の意思表示をする出展者の出店物に入札して落札した場合には,当該意思表示に落札者も同意したものいえ,当該売買契約の内容となります。そのため,落札者は,出店物に契約不適合がある場合でもそれに対して法的責任を追及することは原則としてできません。しかしながら,出店物に傷等があることを知りながら告げなかった場合には,責任追及をする余地が出てきますし,事業者の場合には消費者契約法等の適用がある場合もあります。
個別具体的な判断が求められるところですので,まずは専門家等への相談をお勧めします。