お知らせ & 法律相談コラム

レンタルサーバーを保有管理する者に対する発信者情報開示請求を認めた例(平成26年9月4日京都地裁判決)

<事案の概要>

本件は,原告が,ウェブページ(以下「本件サイト」という。)に掲載された表示が,原告の名誉権を侵害することが明らかであり,本件サイトの作成,管理に関与している者に対し権利侵害を理由とする不法行為に基づく損害賠償請求権等を行使するために発信者情報の開示を受ける正当な理由があると主張して,特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「法」という。)に基づき,被告に対し,発信者情報の開示を求めた事案です。

 

<判決の要旨>

「本件サイト(甲2の1)は,「△△」の表題の元,外壁塗装リフォーム業者につき,「外壁塗装業者の提案力,品質サービス,作業員,価格,アフターサービスなどを利用者のアンケートを基に点数化してランキングを作成しました」との説明を付し,1位に点数21点のa社,2位以下10位までに,20点から14点までの点数が付されたb社,c社,d社,e社等の企業名が掲載されている。さらに,圏外として,「その他リフォーム業者比較表(50音順)」の欄が設けられ,18の企業につき点数が付されている。原告は,本件サイトにおいて,上記圏外の中で最も点数の低い9点が付されている。」

「上記(1)を内容とする本件サイトは,利用者のアンケートの結果として,外壁塗装業者である原告が,同業者28社中最下位の会社であることを具体的に摘示しており,原告の名誉,信用を含む人格権を侵害するものといえる。他方,本件サイトにおける事実摘示につき,真実であることを裏付ける証拠は存在しない。」
「以上によれば,本件サイトは,原告の社会的評価を低下するものであって,名誉,信用を含む人格権を侵害することは明らかであるから,法4条1項1号所定の権利侵害の明白性が認められる。」

<若干の解説>

本判決は、被告が本件サイトが蔵置されたレンタルサーバーを保有・管理する法人であったことから、真実であることを裏付ける証拠を有するはずもなく、真実性の立証はほぼ不可能であったと考えられますから、原告が権利侵害性を立証した以上、当然の結果であるといえます。表現された内容の真実性については、作成者と本件における原告との間で決着をつけることになりそうです。

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