SES契約は,技術社が役務を提供することを約束する契約であり,慢性的な人材不足や技術の専門化・多様化に対応するために締結されるものですが,一次請けと二次請けなどの階層化が生じることがあります。その際,偽装請負と指摘を受けないよう注意しなければなりません。
一次請けと二次請けなどに階層化するに際し,一次請けは二次請けに対して再委託をします。多くの場合,一次請けは,再委託した二次請けと共に業務を行うことになるのがですが,その際には一次請けの従業員が二次請けの従業員に対して直接に指揮命令する状態になりがちです。このような状態に陥ると,偽装請負の問題が生じてきます。
偽装請負に該当するか否かは,個々の事案毎の事情を踏まえて判断されるのですが,偽装請負に該当する場合には,指導,改善命令,事業廃止命令等の行政処分が行われるほか,無許可派遣事業として1年以下の懲役又は100万円以下の罰金という刑事罰の適用などもあります。
偽装請負に該当するか否かのポイントは,1労働者への指揮命令を業務委託先事業者が行うこと(①業務遂行上の指揮命令,②勤怠管理上の指揮命令,③職場管理上の指揮命令),2発注者から独立して業務処理を行うこと(①業務委託に関する資金等の自己調達,自己支弁,②事業主としての法的責任負担,③受託業務が自己調達の機器,設備等を使用して業務を処理していること又は自らの企画,専門技術,経験に基づいて業務を処理することのいずれかに該当し,単なる肉体的労働力の提供でないこと)の全てに該当しているか否かです。全てに該当していれば,適切な業務委託になります(旧労働省告示昭和61年労働省告示37号)。
この点に気を付けて頂きたいですが,よく分からないことも多いと思いますので,その際は弁護士へご相談ください。